腸内洗浄


2月、オレはタイのチェンマイにいた。

目的は郊外にあるヒーリングスパだ。ここで【腸内洗浄】なるトリートメントをするのが目的だった。この腸内洗浄、去年一人でチェンマイにいったとき、ホテルの観光パンフレットの体験記を見ていった。このスパは、チェンマイの町からクルマで40分くらいの郊外にあって、客は殆ど欧米人だ。だだッ広い敷地に、ホテルからテニスコートからスパからなんでもあって、長期滞在者が多い。オレは、そこがなんか昔の結核の療養所サナトリウムのイメージだから、チェンマイ市内のホテルに投宿し、そこから通った。

腸内洗浄というのは、腸の中に大量の水とかコーヒーをいれたりだしたりする。これを何度も繰り返して、オギャアと生まれてこの方溜まっていた”ロングステイ”のアレ、つまり宿便ですナ、あれをキレイにとってしまおうというものだ。去年はじめてしたときはなにせ生まれて初めてだったから、歴史的”異物”がゴソッリでて、それは2−3KGくらいだということだった。トリートメントという言葉が似合わない荒療治なのだが、そこが小気味いい。

このトリートメントは、その最中にビニールのパイプを流れていくブツがハッキリ見える
仕組みになっている。それは、真っ黒いカチカチのなんというか、ニッキのついた栄太郎の黒飴のようなもので、それが次々とコロコロ転がっていくーこんなものが溜まっていたのか!ーと感動しながら全身体的に”再生の予感”がするのだ。

これを3日間通ってこそぎ取ったのだ。トリートメントのあと、ホテルでおなかを鏡に写してみると下腹部がスカッとへこんでいる。まるでローッキーのスタローンのようにかっこよくV字にラインが切れ込んでいる。額になんとなくあったブツブツのようなものがスッパリ消えていた。

ちなみに、この腸内洗浄ー東京でもしているクリニックがある。違いは多分、値段とハラモミ女だろう。洗浄しているあいだロングステイのアレを出しやすくするために、タイ語しかしゃべれない太った中年のオバサンが、なにやら真剣なまなざしで腸付近を神の指先でビシビシもんでくる。すると黒い栄太郎飴がコロコロコロと体内から管のなかを体外に排出されていく。神の指先がロングステイのアレがしがみついている腸壁の
ポイントを正確に発見し、マーサージ攻撃で腸壁から引き剥がすのだ。腸内洗浄は、洗浄液のコックを開けたり閉めたりする担当のセンセーよりも、このハラモミ女がポイントだーとオレは確信した。

さて腸内洗浄を終え”再生”したオレは勇躍チェンマイの街に繰り出した。この街は”東南アジア”の大きな街だから、細かいバトルが当然のように待ち構えている。タクシー、夜店、屋台、物売り、ポン引きー20円30円をめぐる不毛な攻防。

このチェンマイ、タクシーが殆どない。あるのはピックアップを改造した乗り合いバスでこれがタクシーの役割を果たす。路線などない。たまたま向かっている方向に行き先が大体あっていればどこにでも連れて行く。値段は決まっているようで決まっていない。すくなくとも外国人客にはー

さてオレは、このTAXIを手をあげて止めズカッと乗り込んだ。ボラレナイための定石ー乗る前に交渉するーを完全に無視した。現地のガキやオバハンとおなじようにスッと乗り込んだのだ。軍用トラックのような木の板に座っていると、パラパラといる地元の客が途中で降りていく。オレは支払いの瞬間を凝視していた。目に入ったのは20バーツ。数人ーおれは20バーツ札を握り締め来るべきバトルに備えていた。距離など気にしない。オレは20バーツでいく。多分要求は30バーツ。30円をめぐる戦いが目前に迫っていた。下腹部がスタローンと化していたオレは来るべき戦いにコーフンし勝利の予感に震えていたのであった。

−−−ブラジルはいい アジアもいい でも腸内洗浄もかなりいい −−−

by フェリックス 2007年5月

 

 

 

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