TOKYO


トーキョーからブラジルに移る前、オレはありとあらゆるメディアで

「トーキョーは世界で物価が一番高いところ」

と聞かされ続けてきた。

世界のメディアで、トーキョーは信じられないくらい生活費が高いと書かれ続け、オレが外国に行くとそこのヤツラから「トーキョーは物価が高いんですってねぇ」といつも言われていたし、逆にトーキョーに来る客は覚悟していたとはいえ、あまりの物価の高さにおったまげていた。彼らがとくにショックを受けるのは、ホテルの部屋の驚異的な狭さとそれにまったく引き合わない値段、チョイいいレストランでの食事代と、めったやたらと料金を徴収される高速道路などだ。オレはそれに慣れきっていたし当たり前だと思っていた。

海外へ行くと、それがヨーロッパやアメリカのどこであろうとパリでもロンドンでもマドリッドでもニューヨークでも、トーキョーに比べて物価が高いと思ったことはなかった。トーキョーに比べたら安いと思っていた。南米や東南アジアは、物価では別世界だったから知らず知らずのうちに、トーキョーから ”海外に出かける” ということはどこへ行こうと「物価の安い国へ出かけてそこで楽しむ」 ということだと思っていた。

それがここ数年の間、トーキョーに帰るたび状況が恐ろしく変わってきているのをオレは感じていた。いまはもう決定的だ。欧州はユーロが導入されてから、ブラジルはBRIC‘SのBとして高度成長が始まった4−5年ほど前から、円で考えると恐ろしいほど物価が上がった。通貨がめちゃくちや上昇した。欧州では2倍、ブラジルでは3倍になった感じだ。2月に行った台湾の高雄は屋台を別にして、物価はまったくトーキョーと変わらなかった。バンコクは、決して物価の高い街ではないが、最近は年々上昇している。香港の物価は聞きたくもない。モスクワも上海も想像に難くない。ソウルはなんと生活費ランキング世界一位だ。

オレは少なくとも年に一度か二度トーキョーに戻り、欧州、アジア、北アメリカのいくつかの都市に立ち寄る。一年のうちブラジルにいるのは9ヶ月くらい、残りの3ヵ月は日本とブラジル以外の海外で過ごす。だから物価についての情報は常にリニューアルしている。

さて断言しよう。いま世界の大都市でトーキョーほど物価の安い国はない。オレに言わせれば、バンコクより安いと言える。ブラジルのサンパウロなど話にならないくらい安い。バンコクには、衣料品などトーキョーより安いものはいくらでもある。でも、品質で話にならない。食べるところも同じだ。屋台は安い。信じられないくらい安い。でも、バンコクでちょっといいフレンチにいくとトーキョーより高い。

オレはついこの間、トーキョーに50日もいた。銀座のマキシムドパリでランチを食べた。ベージュなどの新興勢力に追われているが、マキシムは、いまだ日本を代表するフレンチであることは変わりない。ランチのコースで5000円。マキシムはちょっとシャレたビストロではない、日本を代表するフレンチであり続けたレストランだ。オレの日本での住処の新宿御苑前のフレンチビストロ、これもランチだがコースで1500円。前菜、主菜、デザート、これにワインがついて税サ込みでこの値段。量もたっぷりで味もOKだ。サービスも問題ない。信じられない。1500円。10ユーロを切る。ブラジル通貨でいえば30ヘアルを切る。欧州でもブラジルでも首都で1500円でフレンチのコースはあり得ない。ランチだろうがあり得ない。ボロイ食堂は別だが

某日昼、食料品専門の99円ショップがオレの住処の近くにあるのだが、そこで賞味期限ギリギリ値引きの稲荷を1パックかった。69円だった。オニギリもおなじ賞味期限リミットモノを69円で三個かう、これに99円の日本茶ボトルを加えてしめて375円。これを二人で食べたから、一人190円弱だ。ブラジルからトーキョーに戻ったばかりのオレには信じられないくらいウマいし、言葉を失うくらい安い!日高ラーメン290円。回転寿司で、腹いっぱい食って、イワノリ汁つけて一人1200円。サンパウロの高いすし屋なども味でもネタでも新鮮度でもテンで話にならない。オレはその質の高さとウマさと安さで卒倒しそうになった。

ユニクロやムジでTシャツなど買い込む。通販でもイロイロ。その高品質!デザインも
ダサくない。むかしバカにしまくっていた”紳士服の青山” ”The Suits Company”
など、ブラジル人を連れてきたらあまりの高品質と値段の安さとデザインにブッタオれるのではないかーとオレは思った。

今回、トーキョーに戻る前、サンパウロでホテルから空港までタクシーで5000円近く
とられた。サンパウロのSCでチョー不味い回転寿司で4000円とられた。次はミュンヘンで、空港から市内のホテル間での往復でタクシー代2万1000円をとられた。どこも騙されたわけではない。台湾の高雄ではビジネスホテルよりチョロッといいホテルで10000円であった。台北ではない、田舎の高雄でだ。トーキョーのダチからロンドンの地下鉄初乗り600円と聞いた。オレは丸の内線初乗り150円で新宿まで出かけていた。去年ローマで、カット角度30度くらいの小さなピザを一切れかって2.5ユーロ
380円も払ったのをオレは思い出した。パリではただの普通のバゲットにチーズをはさんだだけのもので900円だった。バンコクで安物のソックスを買って三回洗濯して捨てた。

日本の物価の弱点は、食料品や衣料品でも交通費でも宿泊費でもない。むしろ世界の首都圏では安い部類だ ー鮮度、安全度、品質を考慮したらメチャクチャ安い部類ではないかー 弱点はたぶん住宅だけだろう。その住居費も広さはともかく、昨今の欧米、ブラジルの大都市の異常な物価高ー為替をみているともはやトーキョーはそれほど高くないかもしれない。

オレは物価が恐ろしく高くなったブラジルに戻った。石油自給率100%のこの国で1L 150円のガソリンを車に入れながら、「世界で一番安全で一番物価の安い大都市 トーキョーに住みたいー」とココロこから思った。

−−−海外旅行は物価の安いところに行きたい!だからトーキョーに行く−−−

by フェリックス 2007年5月

 

 

 

HOME