Sony Vaio Type T


ブラジルでノートブック型PCを買うには勇気がいる。それは単純に値段がものすごく高いからだ。タワー型のデスクトップならスーパーなどで安く売られているが、クウォリティーがひどくてイライラしやすい僕には使うことは無理だと買わなくてもわかっている。だから、仕事で使うPCはコンピューターに詳しい ”信頼できる友人” に頼んで、CPU、メモリー、HDD、マザーボード、ビデオキャプチャーボード、はてはケースまで、部品を一点一点相談しながら一緒に選んで作ってもらう。このプロセスで作ったPCは、部品を取り寄せたりで製作に時間がかるのが難点だけど、日本で自作したものよりすこし高いくらいの費用で収まってしまう。なんといっても、そのパワーと安定度はブラジルでスーパーやPCショップで市販されているレディーメードのPCとは全然比べ物にならない。−目のくらむほどの差− といってもいいくらいだ。ただし、ブラジルでハイパワーで安定度の高いPCを手に入れるには、パーツの入手や選定より −信頼できるPCに詳しい友人がいるかいないか− が決め手となる。

ではノートブックPCは?
ブラジル製のものはカッコわるいし日本製のものは異常に高いし、いいことがまったくない。それに日本語OSやキーボードの問題もあって、タワー型にくらべて改造の余地がほとんどなくなってしまう。

もともと僕はノートブックが好きだったから日本から持ってきてもらったり、帰国したときに自分で買ったりしてブラジルに来てから7台も持ち込んだ。平均して2年に一回のインターバルで新しいモデルに変えていることになる。普段は友人作のブラジルメイドのかなり高性能のデスクトップがあるから、ノートブックを使う機会はあまりない。まぁ、旅行したときくらいだろうか。それもブラジル国内や日本ではセルラーがあるからあまり必要を感じないし、海外に出かけたときもメールを見るくらい。メールも hotmail に流してもらえば、世界中にあるインターネットカフェ −アマゾンの小さな街にもインタネットカフェがある!− やホテル備え付けのPCでやり取りができるから、ノートの必要性は僕の場合実はほとんどない。

それでも新しいノートを日本のメーカーのサイトやショップで実際に見るとつい欲しくなってしまう。それはノートPCを持って旅行している、出張しているという使い古されたシーンがいまだにカッコよくて、颯爽としていて、というイメージに僕の頭の中でつながっているからに違いない。だからノートPCを買うときはデザインばかり見ている。大体ハードウェアはどのメーカーでも同じようなものだし、OSはみなXPだったし、メーカーのオリジナルソフトはまず使うことがないからデザインだけで選んでしまう。品質?これは使ってみないとわからない。でもブラジルに普段住んでいると −日本製だからどれでも品質は心配なし− 楽天的に考えてしまう。そうなるとSONYだ。

SONYほど商品にデザインを持ち込む会社も珍しい。何しろ −生活に必要なものは作らない− という(たとえば冷蔵庫とか洗濯機のような)気位の高いメーカーだし、人と同じことはやらない、やりたくないという気風があるからデザインに凝る。PANASONICとは180度違う。−ジーチャンでもオバサンでも使えて品質重視− のPANASONICと −わからない人は買わなくていい− と気位の高いSONY。SONYはいくら便利でも絶対 Lets Note のようなDVDドライブ、フタ開閉式の前面ローディングなんかのデザインはしないだろうー と思わせるメーカーだ。

去年SONYのVAIOシリーズの中で一番小さいノートモバイル、VAIO TYPE−Tを買った。色はカッパーとSONYが名づけた銅の色。SONY STYLEでキーボードを英文字のみの表記の仕様に変えてもらった。Blue ToothのSONY製マウスも同時に購入した。

予想通り買ってから数回しか使わず、いつも机の片隅にフタを閉めたまま置きぱなしにしていた。この間タワーPCが変調をきたした時久しぶりにフタをあけて使ったくらいだ。ちょうど電源を入れたときにタバコに火をつけていたら、マッチの頭が発火状態でキーボードの上に墜落してあっと思う間もなく、新品同様のキーボードの、アルファベットの三文字がマッチの頭で醜く溶けてしまった。

でもショックは少なくて、むしろこうなったら −VAIO-Tを使い倒してみよう− と思ったのだ。それから何日か使ってみてこの VAIO−T の使い勝手があまりよくないことがわかってきた。使い勝手はデザインの犠牲にされていた。うまくいかない音量調節のダイアルとかDVDドライブの開閉ボタンを探しながら −次のノートPCもSONYを買うことになるだろう− と決めていた。なにしろ僕自身でデザインを重視して日英併記のキーボードをわざわざ英文表記に変えて使い勝手をうんとわるくしたのだからー

by フェリックス 2007年5月

 

 

 

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