ブラジル生活あれこれ  猫に注意 1


ブラジルでGAT(ガット)とは猫の意である。この言葉にはその他に盗っ人の意味も含まれている。電気会社の電線から、勝手に電気を拝借する事をこの国ではガット(猫)と云う。まあ、どの国でも何故か猫が登場する言葉にあまり良い意味合いは含まれない。これは世界共通項なのだろうか?猫の額、猫の手も借りたい、猫なで声、猫に小判、盗っ人猫。

さて、ブラジルの猫はさしずめ「盗っ人猫」である。

基本形は、夜店の屋台の電源を直に電線から拝借し、電気代を払わず商売するというそれである。まあ、これらは大目に見られる風潮があり可愛い子猫と言う所であろう。

ブラジルの貧しい地域になると当然の権利のごとく、公共の電線に私設の猫電線がくもの巣のごとく張りめぐらされ、あたかも、運動会の万国旗のように交錯しながら、各家庭に猫電気が供給されている。雨風の強い日には交錯した電線同士が火花を散らし、「バチーバチー」と云う豪快な音と共に火を噴いたり、その地域全体の電圧が下がったり上がったりでそれは、幻想的な空間をかもし出したりしている。貧しい地域だけに私設の猫電線はむき出しの針金である事が多く、貧しい地域の家事の原因の殆んどが猫電線だと言われている。火事で死んだり、感電したりのリスクを承知で猫電線を使うメリットはただ(無料)という事だ。

公共の電力会社もそれら地域の堂々たる強制的猫電線の余りもの凄まじき張り巡らせ方におそれをなして
集金に行くどころか、送電を止めようともしない。警察も介入できない無法地帯と化している。これは、「ドラ猫」と呼ばれている。

電気代の回収をしないと成り立たない電力会社は、ドラ猫地域で赤字になっている電力代をちゃんと電力を支払っている善良市民の電気代に上乗せしている。これがブラジルの電気代が高い理由である。特に大企業など電力消費の大きい会社には高いレートの電力が配給されている。しかし大企業も黙って指を加えているわけではない。そこがブラジルのしたたかで恐ろしい部分でもある。

この猫の世界には、プロの猫屋がいる。一般的には「ヤミ猫」と呼ばれている。このヤミ猫は、ハイパーレートで供給されている電力を工作により通常レート規模まで引き下げるプロの仕事人達である。電力会社の月々のチェックに気づかれない位の電気代を節約してくれる工作をしてくれる。これらプロの猫屋たちは、公には現れない。プロだけに見つかったら即刑務所行きだ。これら、ヤミ猫は人伝の紹介のみによって知り合う事の出来るヤミの世界の猫達だ。ヤミ猫の大部分が電力会社に勤めていたり、元務めていた人達だ。腕の良いヤミ猫は、電力会社からもらっている給料の3倍を猫で稼ぐと言われている。

ブラジルの猫の世界、じつは電気だけではない。水道配管を調節する「水道猫」の世界も電気猫同様マーケット需要があると言われている。

賢いブラジル人は水道猫に払う金を猫する為、自宅に井戸を掘り井戸の吸い上げポンプに使う電気代だけを電気系猫たちに、工作させ工賃だけを払う。恐るべき、ブラジルの猫道。

ブラジルでは、知らぬ間に猫されている可能性がある。くれぐれもネコババだけには気をつけたし。

by ヒカルドン 2006年10月

 

 

 

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