ブラジル中華料理店の逆襲


世界中どこに行ってもある中華料理店。世界標準で見ると、ブラジルには中華レストランは少ないと言える。ブラジル人口における中華民族の割合が少ないのが1つの理由かもしれない。

もう1つの理由は、アジア料理では、古くからの進出組、日本料理が圧倒的にメジャーな為、中華料理のネームバリューが低いためかもしれない。

ここブラジルでは、日本料理はアジア的エキゾチック料理の代表で、高級日本料理店で箸を使って食べるのが、1つのステータスになっている。庶民的日本料理も有名で、焼きソバ、春巻き、ギョーザ、刺身、鉄板焼き、はブラジル語になっている?

え、なにかしっくり来ませんね。

そう。焼きソバ、春巻き、ギョーザなどは、実は中華料理なのだ。で、昔からこれらの料理を日本食屋で提供しているから、ブラジル人はこれら人気メニューの春巻きや、ギョーザは日本料理だと思っているのだ。こういうやりずらい状況の中で、中国人が考え出した技は、日本人に成りすまし、日本料理店を開ける事だった。

これは、作戦的には成功であったが、中華料理のネームバリューを上げる事に関しては大きなマイナス要因となった。これが、ブラジルで中華料理が育たなかった一番大きな理由かもしれない。

ここ最近中国の目覚しい経済成長と、中華製品の世界的氾濫は、もちろんブラジルでもよく知られている。このチャンスに、中華料理店も増えてきた。中華料理が大好きな私にとっても喜ばしいことだ。

ブラジルの中国製のイメージは、「安い」だ。その事に目をつけた中国人は、「安い」レストランを開けだした。中国人って商機を見つけるのにめざといのはいいのだけど、日本料理屋に変装して自国の株を他の国に取られるように、時々墓穴を掘るようなこともするので、慎重にやってほしい。私は高級中華も食べたいのだよ。まあ、いいや。

で、やってまいりました「香港飯店」。
なんと水曜日は食べ放題。
お、やっぱりやっていますね安いイメージ作り。

店も前には大きなチラシで、「配達やってます」、「水曜食べ放題」、「ブラジル代表料理シュラスコあり」、「1キロあたりR$12.OOポッキリ」、なんて書いてある。今度はブラジル料理も出している。中華のメンツはどうした。

いざ入店。
料理はバイキング形式で、好きなものを好きなだけ取って食べなさい形式。

種類は多いが実は基本的味付けは3つだけ。
「オイスターソース&醤油のブラックソース」
「甘チリレッドソース」
「フライ」
の3つの味付けだ。手を抜いている。安くするための作戦と見た。

フライには、イカ、エビなどの高級食材を使って高級感をかもし出しているが、イカはもの凄く薄くスライスしてあるので、衣の味だけでイカの味がしない。料理は基本ソースが同じな為、味の変化に乏しい。

世界の3大料理の1つとして世界中の料理人がその技法や、食材の組み合わせを尊敬の念を持って研究すると言われる中華料理。中華3千年の味のプライドは?

ふと目にした割り箸の袋には、日本語で おてもと と書いてある。そして 意味ありげに目立つように書かれている「天然主義」の文字。

天然主義??
なんだ、これは??

なにが、天然主義なのだ?これはこの割り箸が天然の素材で作ってますよ、偽物の木ではありませんと言う意味なのか?
このレストランの主義が天然と言うことなのか?
謎が多いこの中華店。

お会計は驚くほど「安い」。
飲んで、食べ放題に食って、文句言ったり、割り箸で考えさえられたりして楽しんで。
一人たったの1050円。

恐るべき中華パワー。
ブラジルの中華料理は総合エンターテイメントとして、ブラジル飲食業界に殴りこみの逆襲をかけているのかもしれない。安心していると日本料理なんかあっという間に蹴散らして、アジア食のメインに躍り出る勢いがある。安く飲んで、楽しめるお店作り主義。

天然主義の今後の動向に注目したい。

by ヒカルドン 2008年2月

 

 

 

HOME