ムキアード    MUQUIADO


ムキアードはアマゾン風の魚の燻製の事である。アマゾン流域の川辺に住む住人に伝わる伝統料理だそうだ。

作り方はいたって簡単。獲りたての魚を焚き火の煙で遠火で魚の皮が飴色に変るまで燻すだけである。

これはまさに魚の「温燻」である。燻製用のチップなどという、洒落たものは使わない。
煙が出る木ならなんでもOK。そこら辺りから適当にかき集めて燻すだけだ。彼らにとって重要なのは、燻製の香りを楽しむよりも魚が腐らない為の保存食として燻製することなのである。

なるほど、赤道直下のアマゾンでは生ものは腐りやすい。電気がないために、冷蔵庫が使えない。川辺の住民にこういう環境でもより保存がきく調理方法が生まれるのは道理である。

熱帯には塩漬けや干物の調理法が発達をしているのには意味があるのだな、フムフムなどと納得しなければならない。

さて、話をムッキアードに戻そう。このアマゾンの魚の燻製は、適度にとか、ほんのりとか、かすかになどと言うような、曖昧な調理方法を使わない。もうこれでもかと言うぐらい燻しまくる為、魚が木のヤニでねっとり、色も飴色と言うより真っ黒な棍棒のようになってしまっている。まあ、考えようによっては男らしいと言うことも出来るのだろう。

で、この黒光りする魚の皮を剥くと中から白いスモークフレーバーな身が現れ、まさか、アマゾンで魚のスモークを昼間から食べられるとは想像もしていないので、

「なんだこの黒い魚は?」

「食べられるのか?」

とは言いながらも結構嬉しかったりする。

熱帯のジャングルで、魚のスモーク。意外に贅沢だ。

by ヒカルドン 2007年3月

 

 

 

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