アマゾンの泥ガニ


アマゾン河、河口域のマングローブが生い茂る汽水地域は、アマゾンの源流から6700kmに至る工程の全ての川の栄養素(旨み)が溜まる栄養豊富な水域である。その栄養のたっぷり詰まった汽水域のマングローブ林で、すくすく育っているのがアマゾンの「泥ガニ」である。

「泥ガニ」というと、私はこのカニに、強い思い入れを持っている。私がかつて若かりし頃、作家 開高健氏の
有名なアマゾン紀行文「オーパー」でその存在を知り、そして、自分自身でベレンと言うアマゾン河口の町に
いってそのカニに夢中で食らい付いた経験がある。

当時「カニの王様」という、物凄くシンプルで、かつ薄暗い小屋のようなレストランで、大鍋でぐつぐつ煮られているカニを見て興奮した事を覚えている。そのカニをテーブルにじかに置き、汚らしい棍棒で叩きつけ、その甘い肉をほじくり出して吸い付くのであるが、汚い小屋でその様な行為をする事自体が、「ああ、俺はアマゾンにいるのだなー」という自己満足も相まって、私の素晴らしき青春の1ページを飾っている。

今は、食品衛生局の審査がうるさくなり、この様な薄暗く、汚いお店は消滅してしまい、どの店も小ぎれいになってしまった為、カニを食う面白みも半減してしまった。

とはいえ、カニ自体は、昔から変わらず美味しいので紹介しておこう。

この泥ガニは、マングローブ林の中の泥地帯の泥の中に穴をほって住んでいる。カニの穴を見つければ、泥で穴に蓋をし、カニが苦しくなってきた所を捕獲する。単純でありながら奥の深い漁である。捕獲されたカニはまさに泥まみれである。この泥の中にアマゾンのエキスが凝縮されており、その泥の中で育ったカニの肉は、真っ白で、そして甘い。カニ味噌は泥色に染まり真っ黒だがこれが究極にうまい。アマゾンの泥味である。

作り方は、カニを洗って大鍋で煮るだけ。

食べ方が面白い。まず、テーブルにうやうやしく、まな板と棍棒が運ばれてくる。

その後に、真っ赤に湯がかれたカニ登場。

もう解りますね。ぶっ叩いて食うのみ。あまり強く叩くとカニ汁が飛び散り、両隣の人に、掛かってしまい、そして彼らも持っているカニ棒で叩かれるはめになるので、カニ叩きには少々テクニックを磨く必要がある。

かつては、Myカニ棒なる物を持っていた私だが、あの棒はいったい何処へいったのだろうか?
握り具合がしっくりくる。相棒だった。

by ヒカルドン 2006年6月

 

 

 

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