ブルーチーズ


社会人になる前、友人達と横浜の館内にある「Scandia」というレストランに行った。このレストランは「スモーガスボード」といって、スウェーデンスタイルのヴァイキング料理を出す数少ないレストランだった。山下公園にほど近く、レンガ造りのクラシックなビルにあるオトナの雰囲気のレストランで、学生の我々にはまるで不釣合いだった。

北ヨーロッパらしい冷たい料理が中心で、食べ盛り学生4人だから料理がズラリと並んでいる大テーブルと席との間を恥ずかしくなるほど往復した。

だいたい食べ終わったかなーそろそろデザートへいくかと算段しているころ、フト友人Tの皿を見るとチーズが載っている。デザートにチーズを食べる習慣なんかないし、妙なものを食べるもんだーと思ってよくみるとその何種類か切り分けられたチーズのなかに「妙な青いモラモラ」が浮きでているチーズがある。不思議に思ってTに

「なんだそのチーズは、ヘンだぞ」

というと

「ああ、これはね、ブルチーズといって青黴が入っているんだ、欧州ではねぇデザートにチーズを食べるのは普通だし、このブルチーズ、とってもおいしいんだ」

とのたまった。Tは姉が外交官に嫁ぎ、パリでの結婚式に家族全員で出席するようなブルジョアの息子だったのだ。

カチンときた。

”ケッ、カッコつけやがってーーーー”

当時のアタシにとってのチーズは黄色い箱に牛がドテッと描いてある「雪印プロセスチーズ」か三角で丸い「6Pチーズ」であった。

でアタシもクヤシイので同じものを持ってきて口に入れてみた。”あっ これはイカン ダメダメダメダァ”異様なカビの色、鼻に抜ける強烈なニオイ、妙な食感、カビくさいしつこい味と腐ったようなニオイ。”おれには絶対無理、食えん”と白旗をあげてしまった。これなら「味がなくてフニャフニャした」カマンベールとかいう白カビのチーズのほうがまだマシだとおもった。

さて、ブラジルに住んでいる今では「青黴系のブルーチーズ」も「白カビ系のカマンベール」も大好きだから不思議なもんだ。

ブラジル人はチーズは”大好物”でスーパーでは本場欧州顔負けの品揃え。ブルーチーズはフランスのロックフォールもイタリアのゴルゴンゾーラも売っている。カマンベールもズラリ。輸入品だけでなくブラジル製のブルーチーズもズラリ。食べ比べてみたが、味にあまり差がなくて値段は輸入品の三分の一から四分の一
位。だからブラジル製がいい。これ以外にもミナスチーズとかシュラスコ用の焼くためのチーズとかエダムチーズとかマスカルポーネとか、わけのわからないチーズがガンガン並んでいる。

ブラジル人の家にいくとチーズがおつまみに出ることが多い。日本でチーズを食べつけてなかった私もブラジルで始終食べることになり慣れていき、そして最後は好きになったのだ。

この間、ブラジル人の私と同年輩の女性が一人で結構オシャレをして遊びに来た。そのとき、家人がワインと木のボードの上ににチーズの塊を2種類おいてナイフをそえてドンと出した。話をしながら、彼女はそれを時々自分でカットして、ワインを飲みながらつまんでいた。アタシそれを横で見ていて彼女がとてもエレガントにみえたし「風景」としてもイイ感じに思えた。

しかしこのブルーチーズ、これはハマル。こんな”Eroticなテイスト”の食べ物も少ないと思う。フランス人が好きなのもよくワカル。

by フェリックス 2006年10月

 

 

 

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