ワイン Vinho ヴィーニョ


ブラジルでもっとも一般的なアルコール飲料は「ビール」。これは誰も異論がないところだろう。瓶詰めもいいが「CHOP(ショッピ)」といわれる生ビールもおいしい。次が「ピンガ」とよばれるサトウキビ焼酎。「カイピリーニャ」というブラジルを代表するカクテルのベースだ。「ビール」と「ピンガ」が二大国民飲料といっても差し支えないだろう。

この二つに続くのが「ワイン」ではないだろうか。欧州系移民が多いブラジル人は相当のワイン好きだ。日本でも最近はワイン好きが多いがそれ以上に根付いているように見える。大都市ならどこのスーパーでも必ずワインコーナーが設置されているし、ワイン専門店もちょっとした街にはたいていある。フランス産、イタリア産、スペイン産、ポルトガル産、チリ産、アルゼンチン産、オーストラリア産、南ア産など主要な産地はすべて押さえていてかなり充実しているといえる。

特に充実しているのがアルゼンチン産、チリ産、そしてポルトガル産。南米の隣国であるアルゼンチンとチリそして旧宗主国のポルトガルのものが充実しているのは当然かもしれない。逆になぜか少ないのがカリフォルニア産。アメリカが嫌いだからかと勘ぐりたくなるほど少ない。何年か前からブラジル産でもいいものが出ていると聞いていたが最近ではスーパーでもよく見かけるようになった。

さて、私はワインマニアではないが、ワインは大好きだ。高級ワインもさることながら楽しいのは安いテーブルワインだ。スーパーに家人と出かけワインコーナーをじっくり見て、あれこれ思案のあげく安いテーブルワインを買い込むのが楽しい。

値段はMAX30ヘアル(1700円)までで、できれば20ヘアル(1200円)位に抑えたいという感じで臨む。
値段は日本とおなじ位だ。特別に安くはない。30ヘアル出して「なんだこんなもんかー」というものもあるし
20ヘアルで「オーこれはウマイ」というものもあるからワインは難しい。ウイスキーやシャンパン、コニャックとなると、ワインに比べて味はほぼ値段に比例しているから買うのも楽である。時々セールで15ヘアル(850円)を切るものがあり、これがおいしいと得した気分になる。

ピンキリのワインの中でも一番当たり外れが激しいのがテーブルワインではないだろうか。安いがゆえに気楽だし、その反面テイストを厳しくチェックするココロの余裕がある。高級ワインとなると高いカネを払っているので、

「無理やりオイシイと思いたい」

とか

「コレをおいしいと思わないといけない」

などの不要な心理が働き、よくわからなくなる。

私はブラジルでかなりの数のワインを飲んだと思うが、最近まではアルゼンチン産、チリ産そしてポルトガル産を中心に選んでいた。それは、ブラジルに住んでいるのだから宗主国かこ周辺のワインが安くておいしいはずだと思い込んでいたからだ。フランス産は意識的に避けていた。というのは、日本で

「おなじ値段ならカリフォルニア産とかチリ産はフランスのものよりおいしい、ブランド力がフランスほどないだけ」

とか

「フランスモノはいいがブランドに目をくらまされるな」

とか読んだり聞いたりしていたからだ。それに

「ワインはチリ産が好きだ」とか「ポルトガルの白に決めている」

などと”ハズシ”のカッコよさもある。あとはブラジルに近いから安くてウマイに違いないという思い込みもあった。

でも最近大きく考えが変わってきた。スーパーでワインコーナーの棚をよーく、よぉぉぉく見てみると、目指す値段のレンジのテーブルワインの種類はフランス産も他国産も種類は同じくらいなのだ。他国産がめちゃくちゃ安いわけでもない。

で、フランス産の安テーブルワインレンジのものを数種類買って飲んでみることにした。これに”ウマイ”ものが明らかに多いんだな。他国産の同じくらいの価格レンジのものに比べて格段にウマイ率が高い。安物を買っているのにボルドーもブルゴーニュもローヌも「オッ これはウマイな」というものが他国産に比べ多いんだ。

この間友人が遊びに来たとき近所のスーパーで仕込んだブルゴーニュの安物を出したら、おもわずその女性が「これオイシイっ」と叫び、その後わざわざスーパーまでそれを買いに行ったと聞いた。

そして、今の私は一挙に ”安フランスワイン” になだれ込み中である。この原稿を書く前も一人でスーパーに出かけ、安価なフランスワインを物色してきたところ。写真の三本がそれ。そのうちいま一本あけて飲んでいるがまずアタリ。これはメチャクチャうまい。一番右のヤつ。

よぉーし、これからはフランスワインで行くぞ。

【追伸】
砂糖を加えたベッタリと甘い庶民用のブラジル製ワインというのもある。これはイカン。巨大なボトルに入っていてリットルあたりの値段にすると異常に安い。日本でも少し前までワインとえば赤玉ポートワインとかハニーワインとかベッタリと甘いワインが主流だった時代があった。それに似ているがそれからさらに風味を完全に取り去ったようなもの。これはマズイ。飲めない。安いだけが取り柄で飲むと頭が痛くなる。これなら安ピンガのほうがブラジルらしさがあってずっといい。

by フェリックス 2006年10月

 

 

 

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