泳ぐクルマ


 

ブラジルは車検という制度がない。中古車を売り買いする時にDETRANという交通局のようなところで車のシャシー及びエンジンの製造番号をチェックするのみ。こちらではVistoriaと呼ばれている。

日本のような厳しい検査はないのでボロイ、ポンコツ車がそこら中に徘徊している。でも、ここ5年位でブラジル通貨レアルが安定し始めて急に車の量が増え始めた感じがする。特に新車の多いこと。したがって中古車市場も昔のような異常に高い値段ではなくなってきた。しかし、それでも車の値段は他の生活必需品と比べてもまだ高い。

僕も車を持っているが未だに新車に乗った験しがない。それほどお金が無かった訳ではない。一般軽自動車であれば購入はできたはず?でも、いまいち自分の嗜好と実用性にあっていなかったし、自分の好みに合う車は恐ろしく高かったので手がでなかった。

僕は車の運転免許はブラジルで取得した。今から11年前の96年にきちんと教習所もどきに通い、ポルトガル語の教科書で勉強し筆記試験も受けて、めでたく日本の10分の1の値段で取得した。そして、パンタナールを走り回る為に中古車を購入した。ブラジルFORDBelina86年型という80年代に大ヒットしたステーションワゴンタイプのやたらとでかい車。ちなみにアルコールで走る。確か購入当時で4000ドルくらい払った。あの当時は1ドルほぼ1レアルでドルの価値が全く無かった時代だったから大変な出費であった。

僕がこの車を購入した理由はまず、その大きさ。それは住所不定無職の放浪生活を送る為に、わざわざテント張ったりせずに車内で寝るためにだ。だったら中型ピックアップトラック購入してキャンピングカー引っ張って旅をしたら快適な生活が送れるだろう?と考えるのが日本人的常識であろう。

しかし、ここはブラジルでただでさえ目立つアジア系の日本人、そんな大層なもので人気の無い街道を走っていれば、どうぞ強盗して下さいとお願いしているようなものだ。その当時はそれくらい用心していた・・・・。今となっては、そんな心配はそれほど必要ないが昔はもう少し日本人に近かった。そんなこんなで古くて目立たない良く見かけるメカニックもシンプルで、僻地のどんな田舎町の修理工場でも直せる車種を選んだ。でもコイツがやたら乗り心地が良く、11年経った今でも愛用している。ちなみに今まで大きな故障はしていない。そのかわり普段のメンテナンスは欠かせないのは当たり前。

それと僕は今時の車のデザインがいまいち好きになれない。四角く角ばったところを全部削り丸っぽい流線型にし、ライトは皆同じような厳つい猫目タイプのものが多く、どうにも僕の好みにあわない。僕は四角いがっしりした車が好きなのだから仕方が無い。

パンタナールに来るお客さんも時々、この愛車で案内することもある。皆さん口にして質問するのが、この車って四輪駆動車ですか???って。大湿原のパンタナールを走り回っている車だから当然ジープのような四駆を操っているのだろうと思っているようだが、僕が観光客を連れて行く場所は未舗装だが路面状態は通年良好でゆっくり走る分には普通乗用車でもほぼ問題ない。しかし、何度か泥地や浸水草原に入ってスタックしたことは当然ある。でも車の構造と電気系統は極めてシンプルだから車内に水が入り足が濡れようがエンジンに水が逆流しない限り結構水の中でも走ることができる。それでも大人の腰くらいの深さの水場では、さすがの愛車も無理でやはりジープが必要になる。

しかし、先進国に比べて発展途上国と呼ばれている国では概して車は酷使されているというか、性能をフルに活用されているというか、とにかく車ってこんなに丈夫で寿命が長いものなのだな〜〜って感じさせられる。乗り方も荒いけど・・・・・。

前置きが長くなったが、まるで湖を泳いでいるように走るジープ、ブラジルトヨタの大ヒット商品Bandeiranteの雄姿を鑑賞していただきたい。これを見たら皆この車を欲しくなるはず・・・・。でも普通の人はならないか??

by サル 2007年5月

 

 

 

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