ハバイアナス havaianas


ブラジルのビーチサンダル大手のメーカーで、「ハバイアナス」と呼ばれているぞうりがある。ブラジルでは「アバイアーナス」と発音する。

このぞうり、昔は最低の貧乏人が履くぞうりであった。元々服装マーナーのきっちりしているブラジルでは、

「ぞうりで外出すること=マナーのない人=貧民」

と捉えられる。それは今でも変りない。この国ではレストランは無論、どんなお店にもぞうりで出入りは厳禁なのである。特にぞうりは、親指とその他の指を二つに分ける。これは、動物の蹄と同じと考えられている。
つっかけの方がランクは上と言う事である。

リオデジャネイロなどの海岸沿いの町は、ビーチ文化がある為、今ではサンダルで入っても良い店がカテゴリー分けされている。サンダル入店OKの店は、「pe sujo ぺ スージョ(汚い足)」というカテゴリーに入っており、まあ、庶民的な店と解釈する事になっている。ただし入店はサンダルであること。ぞうりは不可だ。

上記アバイアーナスは、ブラジルでは最低ランクのぞうりとされていた。このぞうり、ソールは白で鼻緒は水色、もしくは黒の2パターンしかなく。まさしく海の家のビーチサンダルその物だった。このアバイアーナスの最大の売りは「安い」こと。そして、結構丈夫で、何年も使うと鼻緒の中心がソールから抜けるトラブルが頻発するが、抜けないようにテープなどで鼻緒の中心の丸い部分を各自工夫すれば、見ようによっては抜けないように補修も可能である。

ゆえに、ブラジル全ての貧困層に絶大なる信頼と人気を博していた。履き心地が良いため、実は中上流階級でも室内履きや洗濯時の履物として、ひそかに愛用もされていた。

そんな アバイアーナスが突如営業方針を変えた。

鼻緒の別色パターンが出てきたのだ。そして、ソールの色のバリエーションも登場。色つきは値段もかなり高くなった。国民への裏切り行為とも取れない行動にでたのだ。注目すべきは、昔ながらの水色の鼻輪も従来の値段で安く販売し続けたことだ。えらい。これで、国民の怒りをうまくかわした。

ただ、一度カラフルなのを見てしまうと少々高くても、お気に入りの色パターンを買ってしまうのが心情である。アバイアーナスは次にデザイナーを入れ、斬新なデザイナの物を次々にこれでもかと言うぐらいに市場にリリースしはじめた。値段もどんどん上がり、限定モデルあり、ブラジルスポーツ界の有名どころもコマーシャルに投入した。企業のブランド戦略の素晴らしい変身例だと思っている。海外販売にも力を入れた。アバイアーナスぞうりは、サンダルに昇格し、そして、高級サンダルの地位を確立した。気が付けば、海外ではセレブの愛用するおしゃれなビーチサンダルにまでなってしまった。

ただ、戦略だけが良くても商品は売れない。アバイアーナスの高級ビーチサンダルは、スターになる前の20年以上にわたって、地元ブラジル庶民に絶賛されてきた履き心地、耐久性を武器にぞうり界のスーパースターにのし上がった。

私もアマゾンで重宝している。

by ヒカルドン 2006年9月

 

 

 

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