洋服屋の売り子と客


ご存知の方もいらっしゃるかもしれないけれど、わたしは2003年から約2年半ほどブラジルで洋服屋をやっていた。そして、自分も他の洋服屋にお客として出入りした。ということで、日本とブラジルでの店員と客の違いを目の当たりにした。

まずは、ブラジルで洋服屋に入るとどういう目に合うか。そうとう賑わっている店や大型店でない限りは、店に一歩踏み込むや店員が満面の笑顔で寄ってくる。そして、「今日は何をお探しですか?」とか「これが似合うわよ〜」といろいろとお節介を働く。何もいわない店員でも、まるで影法師のようにぴったりと後についているからかなり居心地が悪い。「○○を探してるんだけど」なんて言おうもんなら、カウンターのある場所に招かれて、次から次に取り付く島もないスピードで袋に入った商品を出して広げて見せてくれる。

もしも、ストップをかけなかったら、店にストックしている全ての該当商品を見せてくれる勢いだから、あんまり買う気がない時には、早々にストップをかけるようにしている。とはいえ、それを全部見て買わなくってもブラジルでは普通のことだから、店員も別に嫌な顔もしない。けれど、これは、小心者の日本人には、「悪いから一枚くらい。。。」と思わせてしまうテクになる気もする。。。

では、ブラジル人の客だが、彼らは大群でやってくる率が高い。というのも、ファミリアの国ブラジルだけに、母娘や従妹同士なんかで連れ立って来るのだ。そして、彼らの大きな特徴は、大人数で試着しまくって大騒ぎをしながら「まとめ買い」である。ブラジルではまとめて買うとどんなものでも値引きしてくれる。それを目当てにまとめ買いをするのだが、もう一方では、コーディネートできるように店員の意見を聞きながらそのシーズン分の服をまとめてコーディネートして買っていくのだ。とはいえ、ショッピングセンターならまだしも、ストリートに面したような田舎の小売店はたいして値段も高くないし、まとめ買いのディスカウントをしてもらうとかなりお得な感じになる。

さて、支払だけれど、ブラジル人は「分割払い」が大好きである。例えば、R$10の安物のぞうりだってR$2×5にしてくれる国である。しかも、クレジットカードがなくてもである。。。アメリカと同じように個人がチェックを持てる国だから、チェックを分割で何枚も切るのだが、店によっては身分証明書などで分割をOKしてくれたりもする。けれど、これを真面目に払う人がどれくらいいるのかが不思議でならない。ある時、いきつけのお店の女の子が、「こんなに不渡りのチェックが戻ってきたのよ」と見せてくれたことがある。そうした時には、そのチェックで買い物をした人に電話連絡して支払を要求するのだけれど、そのままドロンの悪者も多いのがブラジルである。その半分も回収できればいいのではないかと思ったりした。そういうことが蔓延しているから、ブラジルでキャッシュで払うというといきなり値引きしてくれることも多い。

わたしの店でも不渡りチェックや分割を払いに来ない人が少数ではあるが存在した。うちでは、身分証明での分割は近所の人や近所で働いている人に限定していたが、それでも払わない人がいた。その中の一人はパン屋の売り子だった。たいした金額でもないのに、払わないから、結局わたしと顔を合わすのが気まずくなってパン屋も辞めてしまったようだった。

たいていの小売店は不渡りチェックの被害にあって潰れていくのもブラジルである。この国で商売をする時に、お金の回収能力があるかないかが運命の分かれ道となるといっても過言ではないと思う。日本のように売った品物に対して確実に入金される社会が羨ましく感じる今日この頃である。。。

by あっこちゃん 2006年8月

 

 

 

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